鄭 漢忠 先生(北大大学院歯学研究科助教授)をお招きして学術講演会を開催しました。
出席者全員の自己紹介から始まり、アットホームな雰囲気の中、講演が 始まりました。 講演は大きく分けて 1.咀嚼、摂食嚥下障害 2.誤嚥性肺炎 の2つのテーマでした。前半では、咀嚼の基準、評価法、摂食嚥下の リハビリテーションについてスライド、ビデオを用いて詳しく説明して いただきました。咀嚼の開始に障害があれば、嚥下にも影響することを 強調されていました。 ビデオでは口腔内に食物が入ってから喉頭蓋を 通過するまでの様子を、障害のある場合と正常な場合とで示され、視覚的な 理解が得られました。後半の誤嚥性肺炎の話では、その原因、予防法などについて話されました。義歯から 採取された細菌と、誤嚥性肺炎患者の咽頭から採取された細菌の一致率は70%であること、ほとんどが 夜間に誤嚥していることなど、スライドを用いてわかりやすく説明されました。誤嚥の対策としては、まずは 十分な栄養と水分補給ということが強調されました。そして、脳、精神活動の賦活化、口腔ケア、食後2時間 横にならない、など予防策を話されました。脳の深部皮質の脳血管障害があると嚥下反射が低下し、不顕性 誤嚥がおこり、肺炎になるとのことでした。これらの改善には、ACE 阻害剤(商品名タナトリル)を用いると 誤嚥性肺炎が3分の1に減るとのことです。最後に、この摂食嚥下障害のこの分野こそ歯科医師が積極的に 関与して、全身の健康に寄与するべきであると締めくくられました。当日出席の会員の中にも施設などへ 訪問診療をされている先生方も多数おり、関心の高い分野の話であるとともに、学生時代には聞けなかった 分野の貴重な講演を聴けて、大変有意義でした。また、前日の親睦会、当日の講演会で母校の話や鄭先生の ホットな人柄にも触れることができました。